勝者のメンタリティと残留争い

鹿島アントラーズの連覇と東京ヴェルディの降格が決まる3年前、2005年12月6日に『速報!サッカー24』で公開したコラムを思い出した。


第14回 タイトルと勝者のメンタリティ相馬直樹コラム)


このコラムは、当時の速サカ編集長が相馬直樹選手(当時・川崎フロンターレ)に話を聞くと言うスタイルになっている。このコラムを連載するにあたり、相馬さんからは「僕が1人称で語るような形式にしないで欲しい」との要望があったのだ。


※現役引退を1つの区切りにしたいという相馬さんからの意向があり、現在このコラムは終了している。


コラムの内容は要約すると「優勝を目指すなら、常にタイトルを見据えていないといけない」になる。シーズンの序盤だから負けてもよい、連敗してもよいとか、そういうことを考えるのはナンセンスだと言い切っている。確かに今年の鹿島アントラーズは数字上、リーグ戦で1回も連敗をしなかったし、(最終順位で)下位3チーム相手に勝ち点を取りこぼすことはなかった。


※実際には第10節、第12節で連敗している。第11節はACLの都合で延期になっている。


この言葉は、優勝争いほど厳しくないはないが、残留争いに当てはまる部分もある。東京ヴェルディは最終節、川崎フロンターレに勝利すれば残留を決めることができた。しかし、東京ヴェルディの降格は最終節だけで決まったのではない。シーズン通しての結果が、降格だったのである。


サポーター席からは「戦え!」とコールされた今季のヴェルディ。観客席やテレビから観て戦っているように見える選手と、実際に戦っている選手は違うので、サポーターの言っていることが100%正しいとは思わない。しかし、最終節を迎える前に「もっと、できることがあった」のは事実だと思う。


スポーツの世界では、すべての競技者が勝利者になれるわけではない。ときには負けを受け入れる必要がある。東京ヴェルディは降格という結果を真摯に受け止め、来年は1年間を通じて戦えるチームに変貌を遂げてもらいたい。ただ、そう願うばかりだ。


※負けを受け入れることは、負けてもよいと思うこととは全くの別物。全力で戦った結果、ダメだったということもありえるということ。全力を出してダメだったでは格好悪いからといって逃げ道を探す、例えば陰謀論を持ち出すなど、そういう行為をしないということだ。

転載元
勝者のメンタリティと残留争い(サッカー景気の悪い話)